犬が気管虚脱になるとゼーゼー・ガーガーなど異常な呼吸音。

「最近、運動後にゼーゼーと苦しそうにしている」
「呼吸するのが苦しいようで楽になろうと、しきりに体勢を変える」
「暑い夜などに痰がからんだ苦しそうな咳が数分間止まらない」

 

などと感じたことはないでしょうか?

 

気管虚脱(きかんきょだつ)の疑いがあります。

              気管虚脱とは
気管・気管支は柔らかい管のような気管なのですが、
この気管を正常な形に保っている軟骨に異常が起こり気管の形を正常に保てなくなったり、
気管周辺の筋肉が筋力が低下して気管が扁平状態に押しつぶされて、
空気が十分に取り込めなくなって呼吸困難などになる病気です。

 

先天的な異常が原因であったり肥満や老化が原因であったりしますが
あらゆる犬種に起こりますが特に小型犬や生まれつき気管が細い短頭首の犬に発症が多い病気です。
また肥満傾向の犬は脂肪が気管を圧迫する可能性があります。
圧迫されることにより空気が通りにくくなり
「ゼーゼー」や「ガーガー」などの異常な呼吸音がします。

 

 

犬の気管虚脱で発症が一番多いのが初夏から真夏の蒸し暑い夜で
犬の呼吸が突然「ゼーゼー」や「ハーハー」や「ガーガー」「ズーズー」などの
異常な呼吸音をするようになります。特に「ゼーゼー」が多いようです。

 

異常な呼吸音だけでなく気管虚脱になると、せきも出る犬もいるようですが
大半が「ゼーゼー」や「ハーハー」などの異常な呼吸音だけの犬が多いです。

 

犬の気管虚脱には3種類あって、それぞれ症状や治療方法が違います。

 

  1. 動的頸部気管虚脱
  2. 原発性気管虚脱
  3. 気管気管支軟化症

 

1番の動的頸部気管虚脱(どうてきけいぶきかんきょだつ)が最も多いのですが
1番から3番の(きかんきかんしなんかしょう)に続発する場合も多く
気管は繋がっていますので複数が発症する場合も多いです。

 

 

それではそれぞれの具体的な症状などを見ていきましょう。

 

1、動的頸部気管虚脱の症状

 

 

運動後や興奮時に「ゼーゼー」「ズーズー」「ガーガー」などの
異常な呼吸音がする。

 

発症すると犬は落ち着かずに動き回ったり、座り込んだりをくり返すようになり
少しでも楽に呼吸が出来る体勢を探すようになります。

 

更に進行してしまうと呼吸時に十分な酸素を取り込めないので
犬は呼吸困難になったり、舌や歯肉が青紫に変色するチアノーゼといった状態になります。

 

動的とは息を吸い込むことで、動的頸部気管虚脱は息を吸い込むときに頸部の
気管が扁平に潰れる気管虚脱です。頸部とは首の前側でのどの部分になります。

 

気道の前の気管である鼻腔や咽頭などが狭くなっているために生じます。
息を吸い込むと気管が扁平になって潰れるのですが息を吐くときには
肺の中の溜められた空気によって気管が押し広げられて
気管は潰れないで正常な形を維持出来ます。

 

 

2、原発性気管虚脱の症状

 

 

息を吸い込むときも吐くときも気道が潰れて空気が通らないために犬は「ゼーゼー」や「ガーガー」と苦しそうに口を開けて呼吸をしよとしている。

 

一般的にこの原発性気管虚脱のことを気管虚脱と言います。

 

ヨークシャー・テリアやチワワ、ポメラニアンなどは生まれつき
気管の形を正常に保っている気管軟骨の成分が少なく原発性気管虚脱を
発症しやすい犬種と言われています。

 

犬の気管虚脱が発症した場合、内科療法によって一時的に症状は緩和出来ますが
潰れてしまった軟骨、潰れかかった軟骨は元には戻せませんので夏の間に何度も
気管虚脱を発症してしまうこともあります。
初夏から夏になったら激しい運動はさせない、興奮させたりしない、
涼しい環境で過ごさせてあげるなどの予防策が重要になってきます。

 

 

 

3、気管気管支軟化症の症状

 

 

この気管気管支軟化症は1番の動的頸部気管虚脱と逆で呼吸時に吸い込むときに
気道が開き吐くときに気道が潰れます。

 

咳が激しいのが特徴的で「ケェー」など痰を吐き出そうにも上手く吐き出せない呼吸をします。
夏の暑い夜間から明け方に発症が多くみられ、犬は激しい咳、痰が絡んだ咳を数分間続けます。

 

気管支の軟骨が潰れてしまって気管支が扁平になって、しかも痰が上手くだせない状態ですので
痰の中の細菌が潰れた気管の中で増殖して、より激しい咳や高熱を起こす場合があります。

 

この場合には獣医さんの診察で抗生剤を2週間程投与すれば完治します。
がこの「完治」は痰のなかの細菌を死滅させることですので
気管気管支軟化症から起こる慢性的な咳を完全に治すのは
難しく病気を理解し環境を整える必要
があります。

 

具体的には犬の生活空間の湿度が低いと当然犬の気道、気管支内も乾燥して
痰が出しずらくなり、気管支内に溜りやすくなりますので空気の乾燥に気をつけましょう。

 

湿度は40〜50%ぐらいで調整していれば、痰が溜ることも減るはずです。
どうしても痰が溜まりやすい犬でしたら獣医さんに去痰薬などを処方してもらいましょう。

 

 

 

 

 

犬の気管虚脱の原因は遺伝だけではありません。肥満にも注意です。

犬の気管虚脱の原因は気管を覆っている軟骨が強度を保てなくなることによって
気管が扁平してしまうのですが、気管虚脱になる犬はこの軟骨の強度が先天的(遺伝)に異常に低かったりします。

 

また気管周辺の筋力も先天的に低い場合もあります。

 

しかし先天的な原因だけでなく加齢や肥満で犬が気管虚脱になる場合があります。
加齢により筋力は低下していくのですが、体の中の筋力も当然低下していき
気管を正常な形に保てなくなります。

 

特に肥満は注意が必要で肥満により首周辺に脂肪が付くと
喉が脂肪に圧迫されて気管を押しつぶしてしまいます。
それが原因で「ゼーゼー」「ガーガー」などの異常な呼吸音になります。

 

短頭首は肥満により気管虚脱を引き起こしやすい犬種ですので
特に肥満には気をつけましょう。

 

 

 

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