犬の膀胱炎が進行すると血尿がでます。

犬は尿(オシッコ)をする時にお尻を地面につけるので
どうしても地面から細菌感染しやすく尿道などが
細菌に侵されやすい動物です。
腎臓から尿道までを「尿路」と言い一部が細菌などに感染して
炎症を起こすことを「尿路感染症」といいます。
犬の「尿路感染症」で一番多いのが「膀胱炎」です。

犬の膀胱炎の発症は圧倒的にメスが多いです。

犬の膀胱炎はオスよりもメスがなりやすい病気です。
メスの尿道はオスよりも太くて短いために細菌が尿道から
膀胱まで容易に侵入
してしまうからです。

犬の散歩

犬の膀胱炎の症状は?

 犬の膀胱炎の症状その@ たくさん水を飲み尿(オシッコ)の回数が増える

 

犬が膀胱炎になると、たくさん水を飲み尿(オシッコ)の回数が増えます。
膀胱炎になり水分が体内に吸収出来なくなっていますので
たくさん水を飲むようになります。尿(オシッコ)の回数も増えるのですが
一定量のオシッコが出ていない場合があります。

 犬の膀胱炎の症状そのA 尿(オシッコ)がでていない

 

トイレに頻繁に行くようになり排尿の姿勢はとるのですが
オシッコがほとんど出ていない、または出ていないという症状も
現れます。オシッコがスッキリ出ない残尿感があるためか
排尿が終わってすぐにまた排尿の姿勢をとることも。

しかし、犬のオシッコが出にくいからと言って犬が膀胱炎になって
いるとは決められません。犬のオシッコが出にくくなる病気は尿道に
結石が詰まる「尿道結石」、また「前立腺肥大」になると肥大した
犬の前立腺が尿道を圧迫してオシッコが出にくくなります。

 犬の膀胱炎の症状そのB 尿(オシッコ)の色が濃くて臭いがする

 

膀胱炎になるとたくさん水を飲み多飲多尿なるのですが、水分が犬の体内に
吸収されにくくなっていますので尿(オシッコ)の濃度が濃くなり
それに伴って犬の尿(オシッコ)の臭いもいつもより強くなります。
「犬の尿(オシッコ)が最近なんだか臭い・・・」と思って獣医さんに診察して
もらうと犬が膀胱炎になっていたというケースもありますので
犬の普段の尿(オシッコ)の色や臭いを把握しておくのは重要になります。

 犬の膀胱炎の症状そのC 血尿がでる。尿(オシッコ)に血が混じる

 

犬が血尿をしたら即、獣医さんに診てもらいましょう。
膀胱が細菌に感染すると膀胱内の粘膜が炎症を起こして出血して
尿(オシッコ)に混じて排尿されます。また血尿が出たり、尿(オシッコ)に
血が混じるのは犬の膀胱炎がかなり進行してしまっている状態ですので
少しでも早く獣医さんによる治療を開始しないといけません。

しかし、犬が膀胱炎になって出血し始めの頃は尿(オシッコ)に血が
数滴混じるぐらいでかなり分かりにくいです。ましてや散歩中にオシッコを
する犬ですと地面などに数滴の血液が混じったぐらいの血尿は
分かりません。犬の膀胱炎が更に進行してしまうと膀胱内の炎症からの
血液の量も多くなり尿(オシッコ)に混じってもハッキリ色で分かるのですが。

犬が水をたくさん飲む、何度もトイレに行くなど膀胱炎の症状を見せたら
犬がオシッコをした跡にティッシュペーパーなどを置いてみて観察して
みることも必要です。うっすらとでも血が混じっていれば
犬の膀胱炎はかなり進行しています。

犬が血尿を出すのは膀胱炎だけでなく
犬の膀胱結石でも血尿が出るので注意が必要です。

犬の尿に血液が混じったり、血尿が出るのは膀胱炎だけでなく
膀胱結石といって犬の膀胱に結石が出来る病気ですが膀胱結石
が原因でも血尿が出ますので注意が必要です。
病院で尿の検査やX線検査をして膀胱炎なのか膀胱結石なのか
他の病気なのかを診断してもらう必要があります。

膀胱炎の原因のほとんどが大腸菌などの細菌です。

昼寝する犬

犬の膀胱炎の原因は?  
犬の膀胱炎の原因その@ 大腸菌などの細菌

 

犬は排尿時にお尻を地面に接するぐらいまで下げますので
どうしも尿道が地面に触れてしまいます。
(オスは必ず片足を上げてオシッコするイメージがありますがマーキングのためで
普段はお尻を地面まで下げてオシッコをするオスが多いようです。しかし
メスの犬ほどお尻を地面まで下げないのが犬のオスが膀胱炎になりにくい要因かもしれません。)

この際に地面、土中に存在する大腸菌などの侵入を許してしまいます。
オスの尿道は膀胱まで細くて長いので大腸菌などが尿道から
侵入しにくく、また尿道にある免疫細胞などの犬の防御システムが
侵入してきた大腸菌などの感染を防いでくれます。
オスの膀胱まで細くて長い尿道は侵入してきた大腸菌などを
攻撃出来る時間もかせげる訳です。
またオスには「前立腺」という器官があり、この前立腺が
外部からの細菌感染、膀胱内の炎症を防いでくれています。

メスには当然、前立腺もなく尿道も短くて太いために
排尿時に大腸菌など尿道が触れると、細菌の侵入を許してしまいます。

 犬の膀胱炎の原因そのA 寒冷、外傷、ストレスなど

 

犬の膀胱炎の原因は大腸菌などの細菌感染以外にも
寒冷などの温度によるもの外傷、ストレスなどがありますが
本当に少数です。犬の膀胱炎の原因は大腸菌などの細菌と思っても良いでしょう。

膀胱炎の診断は何をするの?具体的な治療は?

犬が膀胱炎であるかどうかの診断は「尿沈査(にょうちんさ)」
という検査方法が用いられます。この「尿沈査」は犬の尿を
採取して円心分離機にかけて犬の尿の沈殿物を顕微鏡で調べる検査です。

健康な犬の尿を「尿沈査」で調べても沈殿するのは
極めて少ない数の白血球や上皮細胞なのですが
膀胱炎などの尿路感染症になっている犬の尿の沈殿物は
多くの白血球です。この沈殿した白血球の数を測定して
犬が膀胱炎になっているかどうかを診断します。

尿沈査によって犬の尿のなかの白血球の数が
規定値よりも上回っていれば膀胱炎と診断され
膀胱炎の治療に入ります。
原因は細菌感染であるのがほとんどですので
膀胱内で炎症を起こしている細菌を特定して
その細菌に一番効果的な抗生物質や合成抗菌剤を投与して
治療します。
抗生物質と合成抗菌剤はどう違うかといえば
抗生物質は微生物からつくられた抗菌剤であるのに対して
合成抗菌剤は人工的につくられた抗菌剤です。

膀胱癌の原因に?

犬の膀胱炎自体が犬の致命傷になることはまずないのですが
膀胱炎や膀胱結石などの犬の尿路感染症は完治しにくく
慢性化しやすいのが特徴です。
膀胱炎をくり返し再発してしまうと膀胱癌の発症率が
上がってしまいます
ので、犬が水を大量に飲んだり
トイレに頻繁に行くようなったらすぐに獣医さんに
診察してもらいましょう。犬が血尿を出すのは膀胱炎がかなり
進行してしまっているので出来るだけ早い発見が犬の膀胱炎の
完治や慢性化を防ぐことになります。

 

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